理事長挨拶

理事長就任挨拶

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一般社団法人日本歯科医療管理学会
理事長 柴垣 博一

このたび、伝統と歴史を誇る日本歯科医療管理学会の会長を拝命いたしました。誠に光栄に存じますとともに、その重責に身の引き締まる思いでおります。

本学会は、社会歯科学分野の担い手として歯科医療管理学の研究と実践を通じて、わが国の歯科医療の発展と国民の健康増進に寄与することを目的として1958年に設立され、多くの先生方のご尽力により今日まで着実な歩みを重ねてまいりました。歴代会長をはじめ諸先輩方が地道な努力で築き上げてこられた輝かしい歴史と伝統に深甚なる敬意を表しますとともに、その精神を継承し、次代へと発展させていくことが私に課せられた使命であると考えております。

現在、わが国の歯科医療を取り巻く環境は大きな転換期を迎えています。少子高齢化の急速な進展に伴う疾病構造の変化、地域偏在、継承問題、地域包括ケアシステムの具現化、デジタルトランスフォーメーションの推進、さらには新興感染症への対応、そして診療所で働く従業員の雇用形態の変化など、歯科医療に求められる役割はますます多様化し、高度化しています。開業医が多い本会としては、制度と現場、政策と臨床、地域と医療をいかに結びつけ、会員に迅速に情報発信することが求められています。

とりわけ超高齢社会においては、歯科医療は単に疾病を治療するだけではなく、口腔機能の維持・向上を通じて全身の健康を支え、人々の生活の質を守る重要な社会的使命を担っています。その実現のためには、医療の質の向上のみならず、組織運営、人材育成、医療安全、地域との連携、そして持続可能な経営基盤の確立といった、歯科医療管理学が果たすべき役割が一層重要になるものと考えております。

私は本学会の活動において、三つの柱を中心に取り組んでまいりたいと考えております。

第一の柱は、「医療安全の推進」であります。医療に対する国民の信頼は、安全で質の高い医療の実践によって支えられています。医療事故の防止、感染対策の徹底、医療DXの活用、リスクマネジメント体制の強化などを通じて、すべての国民が安心して歯科医療を受けられる環境づくりに努めてまいります。

第二の柱は、「地域連携の強化」であります。これからの歯科医療は診療室の中だけで完結するものではありません。医科・歯科連携、多職種連携、在宅歯科医療の推進を通じて、地域包括ケアシステムの一員として積極的な役割を果たしていくことが求められています。地域に根差した歯科医療こそが国民の健康寿命の延伸に貢献するものであり、本学会としてもその学術的基盤の構築と実践の支援に努めてまいります。

そして第三の柱は、「経営の安定と持続可能な歯科医療提供体制の構築」であります。人口減少や社会保障制度改革などにより、歯科医療機関を取り巻く経営環境は厳しさを増しております。しかしながら、健全で安定した経営基盤なくして、安全への投資、人材育成、地域貢献、そして質の高い医療を継続的に提供することはできません。経営は単なる収支の問題ではなく、医療の質を支える重要な基盤であり、社会的責任を果たすための土台であります。本学会においても、経営管理、人材マネジメント、組織運営に関する研究と情報発信を積極的に進め、持続可能な歯科医療の実現に寄与してまいりたいと考えております。

私はこれまで地域歯科医療に携わる中で、医療の本質は患者さん一人ひとりに寄り添う「ホスピタリティ」と、社会に貢献する「奉仕」の精神にあることを学んでまいりました。この理念は、時代がいかに変化しようとも決して変わることのない医療人の原点であります。

本学会が、研究者、教育者、臨床家、行政担当者など多様な立場の会員が集い、英知を結集しながら未来の歯科医療を創造する「知のプラットフォーム」としてさらに発展し、国民に信頼される歯科医療の実現に貢献できるよう、微力ながら全力を尽くしてまいる所存です。

安全で、地域に寄り添い、持続可能な歯科医療を次世代へ継承することこそ、私たち日本歯科医療管理学会の使命であると確信しております。

会員の皆様におかれましては、今後とも変わらぬご支援とご協力を賜りますよう心よりお願い申し上げ、会長就任のご挨拶といたします。